デジタルトランスフォーメーション(DX)の今と今後の見通しを徹底解説

デジタルトランスフォーメーションとは(DX)とは、デジタルによる企業変革という意味です。まだまだDXに取り組む企業は全体の5割に満たないものの潜在市場は大きく、これからDX導入によって大化けする企業も生まれてくると思われます。

そこで今回は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の今と今後の見通しを徹底解説していきます。

 

デジタルトランスフォーメーションの現状

DXの進展

DXは、近年ますます進展しています。企業がDXに取り組む理由として、顧客体験の改善、競争力の向上、生産性の向上などが挙げられます。

技術の発展

デジタル技術の発展により、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能、ロボティクスなどが活用されるようになりました。これにより、ビジネスプロセスの自動化や、新しいビジネスモデルの開発が可能になりました。

企業の取り組み

多くの企業がDXに取り組んでおり、デジタル技術の導入により業務の効率化や、新しいサービスや製品の開発などを進めています。また、自社でのDX推進だけでなく、スタートアップ企業との協業やM&Aを通じた技術の取得なども進めています。

社会全体への影響

DXの進展により、社会全体に大きな影響が出ています。例えば、ロボティクス技術の進展により、生産性の向上や医療現場での手術の支援などが進み、社会問題の解決につながるとされています。

問題点

DXには、情報セキュリティの問題や、デジタル技術を使いこなす人材の不足などの問題点もあります。また、DXにより失業者が出る可能性もあり、社会的な課題としても注目されています。

 

DXの市場規模と今後の予測

出典:(株)富士キメラ総研『デジタルトランスフォーメーション(DX)の国内市場(投資金額)調査』

(株)富士キメラ総研が発表した『デジタルトランスフォーメーション(DX)の国内市場(投資金額)調査』によると、2020年度時点での市場規模は1兆3821億円で特に交通/運輸、金融、製造、営業(マーケティング)での利用が比較的進んでいる一方で、飲食や宿泊などのサービス業や小売、不動産、自治体などは出遅れている状況になっています。

ただ、2030年度の市場は、20年度の1兆3821億円の3.8倍となる5兆1957億円を見込んでおり特に交通/運輸の増加予想が群を抜いて、その他の業界でも市場が急拡大していくと予測しています。

 

DX利用が拡大している業界と要因

 

交通/運輸

高齢者による交通事故やあおり運転をはじめとした危険運転による事故未遂が社会的な課題となっており、各事業者がこれらを防止するための取り組みを進めていることが主な要因になっています。今後更に、個人や法人ユーザーが安心して利用できる輸送サービスへの積極的な投資が進められています。

 

金融

次世代金融サービスやデジタル審査・予測への投資が中心になっています。次世代金融サービスは、2017年度の改正銀行法を契機にAPIの構築が進み、2019年度から2020年度にかけて、API公開などの体制が整い始めた。今後は複数のサービスが相互に連携することでシームレスな金融サービスの普及が期待されています。デジタル審査・予測は、以前から業務の自動化や省力化を計画していた企業が、新型コロナウイルス感染症の影響により計画を前倒ししていることから伸長しています

 

流通/小売

デジタルオペレーションへの投資が中心で、在庫の最適化による逸失利益の削減に向けた取り組みが進められています。また、季節性やイベントなどの外部要因も含めた複雑な判断をシステムが支援することで、業務属人化の防止を目的とした投資も増加しています。今後は人手不足への対策として、業務効率化を目的とした投資が積極的に行われるとみられています。

 

医療/介護

医療業界におけるデータ活用のニーズが高いことに加え、政府が注力している医療ビッグデータ分析支援の需要が増加しています。なかでも厚生労働省が主体となり、医療データや健診データの分析を基に保険事業の効率化を図るデータヘルス計画が推進されていることから、健康保険組合向け分析支援が伸びています今後は病院向け分析支援や二次利用分析支援の需要増加が期待されています

 

不動産

特に賃貸管理や仲介業務でICT化が遅れており、属人的で労働生産性が低く、顧客にとっても手続きに手間や時間がかかることが課題になっています。これらを解消するための投資が拡大しており、在庫状況のリアルタイム性向上と管理会社における物件確認などの応対の自動化、内覧のウェブ予約/管理、スマートロックを利用した内覧時の鍵の受け渡し業務の削減、セキュリティ向上、VR内覧、申込や契約の電子化/ペーパーレス化などが進められています

 

営業・マーケティング

業務効率化を主としたソリューションが中心となっています。CRM/SFAはSaaSベンダーを中心に高機能なサービスの開発や提供が進められており、メールやウェブ会議との連携、営業業務のテンプレート共有、案件見込み度のスコアリング、最適行動の提案など、ツール間連携やAIによる機能拡充などが進められています。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機にオンラインでの営業活動管理の必要性が認識され、高機能なSaaSを導入可能な大手企業を中心に市場は拡大していくとみられています。

 

DX導入事例

 

株式会社ブリヂストン【製造業】

タイヤの世界トップメーカーである株式会社ブリヂストン。

同社のDX導入例は、これまで長年培われてきた「ゴムを極める」技術などの「リアル」に、「デジタル」を組み合わせることで独自のシミュレーションを活用。既に鉱山車両用タイヤの開発では、高度設計シミュレーションが活かされ、鉱山のレイアウトや走行ルートなど、顧客ごとの状況に最適化したタイヤ開発が実現しています。

 

株式会社セブン&アイ・ホールディングス【小売業】

株式会社セブン&アイ・ホールディングスは、セブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂などを傘下に持つ日本の大手流通持株会社です。

コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店から金融、専門店に至るまで幅広く事業を展開している同社にとって、ユーザーデータをいかに統合的に収集し、活用するかは大きな課題でした。そこで同社ではグループDX戦略本部を2020年4月に発足し、グループ共通の「DXプラットフォーム」の構築や、デジタル人材の採用・育成を強化しました。

更に、各事業のECビジネスにおける配送効率最適化を図るため、グループ共通の「ラストワンマイルDXプラットフォーム」の構築も進めています。

 

東日本旅客鉄道株式会社【交通/物流】

東日本旅客鉄道株式会社(略称JR東日本)は、鉄道事業を中心として商業施設、不動産、電子マネーカード、旅行業など幅広い事業を展開しています。

同社では、顧客が移動のための検索・手配・決済をまとめてできる「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」の構築を進めています。具体的には、「JR東日本アプリ」で列車の遅れを加味した「リアルタイム経路検索」や「リアルタイム列車混雑状況」の提供です。また、2020年3月よりJR北海道やJR西日本とともに、各新幹線でのチケットレス化を開始しました。

同社の交通系電子マネーカードと予約情報の管理・認証を行う新築のサーバーとの連携により、切符を受け取る必要のない新幹線利用が実現しています。

 

日本郵船株式会社【交通/物流】

日本郵船株式会社は、運航船舶数規模及び連結売上高及び連結純利益で日本では1位、世界でも最大手の海運会社です。

同社では、自動車専用船の運航スケジュール調整における運航担当者の負荷軽減やノウハウ継承が課題となっていました。そこで、短時間に数十万通りのシミュレーションを行う運航スケジュール策定支援システムを開発し、意思決定の迅速化や知識の蓄積・継承に役立てています。また、船上に大量の現金を保有する安全上のリスクに対して、船員への報酬や日用品の購入に電子通貨の導入を進めています。

 

清水建設【建設業】

清水建設は、日本の総合建設業界(ゼネコン)でスーパーゼネコンと呼ばれる5社に含まれる会社です。

デジタルプラットフォームの整備やDXを推進する組織風土の醸成へ熱心に取り組んでいます。デジタルプラットフォームとしては、ICTベンダーや設備機器、建設機械メーカー19社と共同しながら、同社が開発した建物オペレーティングシステム「DX-Core」の機能拡充を進めています。これにより、例えばAIカメラと空調制御が連携し、建物内の混雑状況によって換気量を調整するなど、建設業でのDX化が実現されます。

 

株式会社資生堂【化学】

株式会社資生堂は化粧品の製造・販売を主な事業とし、化粧品の国内シェア第1位、世界シェアでは第5位の日本企業です。

コロナウイルスの影響で変化した顧客の購買行動やニーズに、デジタルテクノロジーを駆使して迅速に対応。具体的な取り組みとしては、ビューティーコンサルタントとコミュニケーションをとりながら商品を購入できるライブコマースや、高度な顔認証技術とAI技術を活用したバーチャルメイクアップカウンセリングなどがあります。

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